クラゲ、2015
#1
思えば学生時代からずっと新宿にいる。何回職場が変わっても新宿にいる。すべての価値観が掛け合わされて無限に膨張したこの街では誰も主役になれない。だからこの街が好きだ。
夜の新宿を歩いていると浮遊するクラゲの気持ちになれる。南口の駅前には広い道路があるおかげで不自然にぽっかりと開けた広い空間があり、ネオンとビル陰と意識と無意識で満たされた淡い海がある。すれ違う女性のきれいな巻き髪を秘密の金魚が滑り落ちる。
#2
2015 年のベスト書くの忘れてたんで今さら 3 つだけ書いときます。
ザ・なつやすみバンド - "パラード"
春から夏にかけてこればっか聴いてた。夏に近所の商店街で流れてた。上半期最も聴いた作品。
泉まくら - "愛ならば知っている"
この人の言葉と声はどうしようもなくざわついた気持ちにさせられる。作品を重ねるごとにそのざわつきは深くなっている。
ぱいなっぷるくらぶ - "BANANA"
全曲いいんだけど、"finderrr" の MV がとにかく素晴らしすぎて何度も見てしまう。映像のファニーさが逆に曲のせつなさをさらに引き上げててなんかたまらない気持ちになる。
屍者の帝国
#6
伊藤計劃作品のアニメシリーズ上映がスタートしたということで、「虐殺器官」と「ハーモニー」しか読んでなかったので唯一未読だった「屍者の帝国」をあわてて読んだ。プロローグ部分だけ伊藤計劃が執筆してその後の本編は円城塔が書き継いでいるという作品で、その意味ではほぼ円城塔の作品と言える。なんかごちゃごちゃ小難しいこと言ってんぞって感じで前半少しの間は忍耐の時間が続いたけど、ストーリーの理解も進む中盤、アレクセイ登場あたりからどんどんおもしろくなってきて最後まで一気に読めた。クライマックスシーンの怒涛の描写とかはちょっと素晴らしかった。物語の大きなうねりとリリカルに描写されるディテールが共存する名作。
というわけで劇場版の「屍者の帝国」も見てきたのだった。原作の象徴的なシーンやフレーズ、キャラをそのまま使いつつも全体としては別のストーリーに仕上げてるのがちょっとおもしろかった。原作をあくまで伊藤計劃の作品とみなすなら円城塔が書き継いだ部分も二次創作なのだと言えるわけだし、このアプローチはある意味正しい。でもさすがに 2 時間にあれだけ詰め込むと原作読んでないと厳しい気がする。大里化学あたりからついていけなくなりそうだし、登場人物も多いので混乱する人もいそう。ともあれカタルシス感のあるエンターテイメントとしてまとまっててなかなか楽しめた。他の二作も楽しみ。
ひょろひょろ人間、It's a beautiful day
#4
アラフォーともなると否応なく体力の衰えを感じるわけで、それと同時にならばいかにかっこよくジジイ化するのかということもそろそろ考えてみようかと、そんなことなどを思案した結果、実は一年くらい前からジムに通い始めているのであった。もう若くないしそもそもがひょろひょろ人間なのでそう簡単には清原みたいなムキムキ超人にはなれないけれども少しずつしゃべり方を関西弁にするなどして近づいていきたい。
いつ行ってるかというと基本的には早起きして出社前に行く感じで、都心の大きなジムはわりと朝 7:00 とかからやってるので、同じように出勤前のおじさんなどが走りに来てたりする。最初はやっぱり辛さもあったけど生活習慣化してしまったら行かないほうが気持ち悪いくらいの感じになる。それで毎日同じ時間に通ってると見かける顔ぶれもだいたい同じになる。ジムにはいろんな人がいておもしろいので、心のなかで勝手に名前をつけて観察してる。
- 老師 - スキンヘッドあごひげサングラスのジジイ。完全にジジイなのにがっしりしてて本気出した時の亀仙人みたいでかっこいい。
- ステファニー - ずっとステップマシンだけやってる白人美女。最近見かけないのでかなしい。
- エディ - カポエイラ使いのドレッドヘア黒人。
- ヒカル - オフの日のホストっぽい兄ちゃん。仕事終わりに酒飛ばしに来てるんだと思ってる。
- スーパーマン - ぴちぴちの スーパーマン Tシャツ を着てトレーニングしてる関わりたくないおっさん。
- 山本さん - 山本さん、て感じの人
- マリリン - 派手なババア。
- 死体 - ストレッチゾーンで顔にタオル乗せて仰向けで一直線になって動かないババア。
その他にも、もじゃもじゃ頭、岡崎選手、さらさらロン毛野郎、七三分けメガネ、デブメガネ、全裸メガネ、メガネ、メガネ2、とにかくクソ気持ち悪いジジイ、などのたのしいなかまたちがいます。
一年通ったとはいえ朝から一日の体力使い果たしたくないので本気で追い込んで鍛えてるわけじゃないけど、一つの成果として明らかに姿勢はよくなったと思う。意識して猫背を直すようにしてたのもあるけど体幹の筋力がましになってきてるんじゃないかと思う。思うんや。
#5
ちょうど先週になるけど、カーネーションの「a Beautiful Day」再現ライブ追加公演 を見てきた。あのアルバムは学生時代に聴き倒した一枚なので個人的にも思い入れがありなかなかの青春ロールバック感が、とはいえだがしかし明らかにこれは今まさに現在現時点の、20年の時空でビルドアップされた21世紀の音・光・熱・声であり、過去と現在をぶち抜いて当たり前のように未来へ転がり込もうとする力強さと大人の余裕にびりびりーぐわーっとなり、なんか負けてらんねえみたいな気持ちになったのだった。
躓かない男、野火
#2
数年ぶりに当たり付き自販機で当たったのでそのポジティブエネルギーをどこかに還元すべく半年以上ぶりにブログなどを更新することにした。ついでにはてなダイアリーからはてなブログに移行してみた。これを機にブログ書き人間となるのだ。
近況といっても何もないけれども、ある日突然スイッチを切るように今年の夏は終了したのでまんまと風邪を引いてしまったのであった。いったいいくつになれば俺は季節の変わり目に躓かない男になれるのか。
#3
渋谷で映画「野火」を見た。かなり強烈で見終わったあと右手が痺れてた。内容も壮絶でありつつ、塚本晋也作品は音と映像でプリミティブにぎりぎりまで追い詰めてくるから大スクリーン大音響の映画館で見ると逃げ場がなくてなかなかやばい。現実感のない白昼夢のようなシーンがたくさんあってそれがむしろ戦場の狂気や焦燥の中でのリアルな感覚なのかもしれないと思った。味方と敵が銃口を向け合う生きるか死ぬかの一瞬の連続、というよりはゆっくり溶けて生も死も善も悪も本能も理性も何もかもがどろどろになった得体のしれない何かに自分自身がなっていく、という感じ、それが戦場なのだと思った。今まで見た戦争映画では間違いなくベストなので見たほうがいい。俺はもう二度と見たくない。
日本では過去の悲劇惨劇として戦争が語られることがほとんどだけど、世界では現在進行形の戦争が、この映画のような狂った状況が今まさにいくつも存在しているのだということを思うと、シンプルにぞっとする。いま日本ではいかに自分たちが戦争に巻き込まれないかを中心に議論がされているけれども、それとはまた別の話として、今まさに別の場所に存在している戦争をどうやってなくすか、戦争のない世界にするためには何をすべきか、ってことももっと語られなければならないと思うし、それは「戦争反対」のワンフレーズで片付く問題でもなさそう。いろいろ厳しい。
2014
そういえば毎年末にいつも挙げてる今年の 10 枚的なやつ書いてなかったので 2 月にもなって今さらだけど書くかーと思ったけどなんかあんまり去年は新譜聴いてなかったみたいで、今回 8 作品です。
- Buffalo Daughter - Konjac-tion
- Hi how are you? - さまぁ〜ぎふと
- Kero Kero Bonito - Intro Bonito
- 北園みなみ - Promenade EP
- Kyoka - IS (Is Superpowered)
- Lamp - ゆめ
- Prince - Art Official Age
- Spazzkid - Promise
[参考] 2013 年の:
http://d.hatena.ne.jp/dewdrop/20131229/music2013
Prince のはジャケがとにかく好き。
よかったMVのコーナー
Spazzkid - "Truly (feat. Sarah Bonito)"
Kero Kero Bonito - "Intro Bonito"
Lamp - "さち子"
テンテンコ - "Good bye, Good girl"
八十八ヶ所巡礼 - "攻撃的国民的音楽"
Affie Yusuf - "Track Dat Horn"
キハ、Naomi Vona
#6
そういえば保育園児のころ鉄道マニアだった。電車の本とかたくさん買ってもらってたし、踏切待ちで通過する南武線の車体のキハとかクハとかをじっと目を凝らしてチェックしてた記憶がある。ちなみに今はさっぱり興味なしですけども。でも電車に乗ってどこかへ行くのはやっぱり好きだ。飛行機の旅はあまり好きじゃない(こわいから)。自動車の旅も好きじゃない(酔うから)。旅は電車に限る。
今はちょっと中断してるけど、日本全国すべての都道府県を旅するっていう意味のあるようなないようなことをやってた。なんのためにそんなことを始めたのだったか、今ではもう最初のモチベーションが思い出せない。ただ一つ、最近になって気づいたことがあって、日本中あちこち旅しておくと、出会ったたいていの人の出身地の話ができるのであった。これはちょっとなかなかいいなと、なるほどこれは資産だなと思った。また旅に出たいなー。
#7
Naomi Vona
神、37
#4
先日会ったある女性が、白いご飯は味がしないから苦手だ、と言うので信じる神が違うってこういうことかーと思いました。
#5
こなかりゆさんの名曲「37 歳の Baby」。この曲はじめて聴いたのたぶん大学生くらいのときで当時からかなり好きな曲なんだけれども、37 歳ってまたえらいおっさん好きなのねーとか思ってたのに気づけば俺もその歳でありなんだか絶望と希望が入り混じった気持ちで聴き返してる。
ところでこなかりゆといえば、上原さくらに提供した「ホワイ」っていう曲がめっちゃいいです。つって以前見つけた YouTube のリンク貼ろうとしたら削除されてた…。どっかで借りたりして聴いてみてくれ…。ちなみに「ホワイ」の 8cm シングルまだ持ってる。あの曲こなかさんセルフカバーしてたりしないかなー聴きたい。
こなかりゆ / Hiccups (1996)
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