2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

曇り

#4 手のひらでくるくると回って消える言葉。変わることも変わらないことも難しい。選択肢は無限にあるから目をつぶって選ぶしかない。それを運命とか宿命とかいうのは馬鹿みたいだと思う。冬の日の曇り空はナチュラルなモノクロできれいなセメントみたい。

小屋

#3 ドアをノックする回数を間違えて月の裏側にある真っ黒な花が一面に咲く広場に出てしまう。ここに来たら次の新月まで帰れない。しまったと思うがどうしようもないので広場の真ん中にある小屋に向かう。小屋には同じように間違えて来てしまった年配の先客が…

結晶

#2 マフラーの隙間を縫って冷たい風に絡まった 0.5 秒の結晶がすり抜けていく。雪が降るとか降らないとかいって結局降らなかった日、立ち止まってぱりぱり砕ける風の音に耳を澄ませていたらうっかり影を凍らせてしまった。

白昼

#1 冬晴れの静かな青空、透明な白昼の三角形、七曜の螺旋にがんじがらめ。泥だらけの手でかき分け転がり込んで、無限に広がる円天をあんぐりと見上げて、ようやく呼吸を思い出す。