屍者の帝国

#6

2015-10-09 15.04.37

伊藤計劃作品のアニメシリーズ上映がスタートしたということで、「虐殺器官」と「ハーモニー」しか読んでなかったので唯一未読だった「屍者の帝国」をあわてて読んだ。プロローグ部分だけ伊藤計劃が執筆してその後の本編は円城塔が書き継いでいるという作品で、その意味ではほぼ円城塔の作品と言える。なんかごちゃごちゃ小難しいこと言ってんぞって感じで前半少しの間は忍耐の時間が続いたけど、ストーリーの理解も進む中盤、アレクセイ登場あたりからどんどんおもしろくなってきて最後まで一気に読めた。クライマックスシーンの怒涛の描写とかはちょっと素晴らしかった。物語の大きなうねりとリリカルに描写されるディテールが共存する名作。

というわけで劇場版の「屍者の帝国」も見てきたのだった。原作の象徴的なシーンやフレーズ、キャラをそのまま使いつつも全体としては別のストーリーに仕上げてるのがちょっとおもしろかった。原作をあくまで伊藤計劃の作品とみなすなら円城塔が書き継いだ部分も二次創作なのだと言えるわけだし、このアプローチはある意味正しい。でもさすがに 2 時間にあれだけ詰め込むと原作読んでないと厳しい気がする。大里化学あたりからついていけなくなりそうだし、登場人物も多いので混乱する人もいそう。ともあれカタルシス感のあるエンターテイメントとしてまとまっててなかなか楽しめた。他の二作も楽しみ。