Week 26
#9
目が覚めると私はやはり暗闇の中で椅子に座っていた。そして再び左手に受話器を握っていた。
受話器からは電話のコードが伸びて暗闇の向こう側に伸びていた。とりあえず私は受話器を持ったままそのコードを辿って歩いてみることにした。歩き始めるとかつかつと耳障りな靴音が暗黒の床に鈍く波紋を打ち、軽くため息をつくとそれはあっという間に闇に吸い込まれ消滅した。
#10
どんなに季節がめぐろうとも、そのもやもやした灰色の重たい気体みたいなものが自分の中にずっと居座り続けているせいで、その部分だけがいつまでも満たされない。それは少しずつ形を変えつつもどんどん大きくなっているようで、グレーはよりグレーを増しているようで、だから本当はずっと不安だし、それがある日突然はじけ散るときのことばかりを考えてはそわそわしている。でもそれが大きくなればなるほどそこから目をそらせないし、うやむやにしてしまうにはあまりに自分の中でこじれていたし、でも結局それが何なのかすら自分は理解していないし、そもそもこんな、言葉を切り刻んで並べ直しただけで、そんなの何も言ってないのと同じじゃないか!
#11
わらびもち食べたい。