渦 ep.2

茶店で知り合いの女の子と話していると彼女の肩越しに見覚えのある人影が見えた。なかなか思い出せずにいたが、アイスコーヒーにミルクを入れているときにふと思い出した。それはあのときの魔人だった。魔人は一人でシフォンケーキを食べていた。左手で新聞を読みながら右手のフォークで器用にケーキを崩して口に運んでいる。魔人はこちらに気付いていないようだった。

どうしたの、と不安そうな表情で彼女が顔を覗き込んできた。気が付くと私はアイスコーヒーをストローでぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるかき回し続けていた。

目を上げると、そこに魔人はいない。