どんな季節でも夕暮れの、昼と夜の隙間のあの一瞬の時間帯が最高に気持ちいい。今日あたりだと東京では16時を過ぎたあたりから空の下半分が赤くなって空気に藍が混じりだすので、そういえばシャンプーがもう少しで切れそうだったっけ、とか適当に理由をつけて外に出る。ふらふらしたじいさんが、同じようによぼよぼの老犬を連れて歩いているのをすたすたと追い抜く。銀杏の匂いが強烈に漂う墓地の横を抜ける。夕暮れの時間帯はあっという間に終わるので、引き返す頃にはもうずいぶん暗くなっている。建物の隙間から満月が見える。低空に浮かんだ巨大な橙を眺めながら、チャゲがやってたバンドってなんだっけ、って、ずっと考えていた。