コーヒーにミルクを注ぐ。カップの中の小さな世界で漆黒と純白が琥珀の渦をゆるやかに描き出す。ミルクを注ぎ終えても渦は回り続ける。次第に渦は回転数を上げる。どういうわけか渦は止まらずにさらにスピードを上げる。そしてついにざばざばと波を立て始める。波がカップからこぼれそうなくらい高くなったところで渦の中心から魔人が現れる。魔人はこちらを3秒ほど見つめ何かを言いかけてやっぱりやめてそのまま玄関のドアを開けて出て行く。私はとりあえず目の前のコーヒーを一口飲む。