トラベル / 横山裕一

気温30度っていうから半袖で出社したら社内すげえ寒い。年間を通して社内が適温であった日などない。

トラベル (Cue comics)

トラベル (Cue comics)

いつの間にか出てた横山裕一の新作。この作品にはセリフがない。「ドカーン」とかそういった擬音みたいなものもない。主人公らしきキャラクターは一応いるが気づかずに読み終える人もいるだろう。無表情な名もないキャラクターたちがぞろぞろと登場して箱庭のような世界を動き回る、その様子がひたすら淡々と描かれる。それはこの人の作品の特徴ではあるのだが、エッジ感はさらに増している。ビジュアルオンリーだしストーリーもあってないようなものだからぱらぱらーっと読み終えてしまいそうなものなのだが、どうにも絵の存在感が凄まじく一コマごとに発見があったりして、軽く読み飛ばしてしまうことができない。だから絵を眺めてるだけなのにページをめくるのにやたら時間がかかる。前作「ニュー土木」は間違いなく傑作だったと思うのだけど、それをさらに超えてきた、よね、これは。すごい。この人は、おそらく世界的に見ても最も才能のあるコミック作家の一人だろうと思う。読むべき。全人類が読むべき。