Week 25

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#4

やがて雨が降る。人差し指でリズムをとる。思い出す。噛み潰す。舌打ちする。そのふわふわとした言葉を口走る。季節はやがて浮上する。

#5

目が覚めると私は暗闇の中で椅子に座っていた。光も音も空気の流れもない部屋で、椅子に座り、そして左手には受話器を握っていた。私は受話器を耳にあててみた。受話器の向こう側に気配を感じる。

「もしもし」と私は言ってみた。
「…」
「もしもし」
「…」
「もしもーーーし」
「…」

#6

いいスパムきた。

千葉雅美です。
今、色々と日本は大変な状況と思い、私の出番が来たと確信しております。
篤志家の私としては、あなたを少しでもお助けできればと思っております。
ぜひ、まずは私に連絡頂けますか?

私の出番が来た、というフレーズすばらしい。

#7

「もーしもーーーーーし」
「…」
「もーーーーー」
「…」
「しーーーーー」
「…」
「もーーーーー」
「…」

#8

私は受話器を暗闇に向かって投げつけ再び眠りに就いた。