Week 22
1
ランプの精から電話がかかってきたのは午前3時をちょっと過ぎた頃だった。そのときちょうど私は考え事をして眠れなくなってしまっていたところだったのだが、しかし、午前3時に電話が鳴る、というのは、ちょっとぞっとするものだ。
「本当は」とランプの精は言った。
「うん」
「あんたの願いを3つかなえないといけない」
「願い?」
「ランプの精だから」
「ランプの精だから。ああ、そうか。そうですね」
「でも」
「でも?」
「なんか疲れちゃって」
「はあ」
ランプの精の言っていることは正直よく分からなかったしどうでもよかった。そして、ぼそぼそと話す声を聞いていると急激に眠気が襲ってきた。電話の声がまるで水中にいるみたいにこもって聞こえる。視界がねじれ意識がうねり、受話器を落とした記憶もなく私はいつの間にか眠りに落ちてしまう。