夏への扉 / ロバート・A・ハインライン

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))
えらい時間をかけつつ読み終わりました。
私は基本的に小説にしても映画にしてもストーリーにはほとんど興味がないらしくて、それよりはむしろ内面描写や情景描写に重点を置いているようなものが好きなのだけれども、ここまで見事に巨大なパズルのようにカチッとストーリーの断片がはまっていくのを見せつけられるとさすがに唸らざるを得ない。なるほどこれがSFの醍醐味の一つなんだろうなと思った。たっぷり時間をかけて張り巡らした伏線をクライマックスで一気に全部使い切る。そういうやり方は正直好きじゃないのだけど、それを受け入れさせるだけのいい意味でのしつこさがあった。さすが名作、とでも言うほかない。時代設定として現在が1970年、近未来として2000年が登場するのだけど、2000年はさもロボット時代到来のごとく描かれていて、そうあらざる2004年現在にこれを読むのはなんだか変な感じ。