5.そして私はまた取り残された、と思う。

4.ランプの灯りが消えかかる頃、標本の蝶が突然動き出す。ケースから出て一斉に飛び立ち始める。部屋中を埋め尽くした蝶の群れはぐるぐると竜巻のように旋回し、一つだけ開いた窓から流れ落ちるように次々と一羽残らず飛び出していく。

3.弱いランプの灯りが薄暗く揺らめく壁にはたくさんの蝶の標本が飾られている。部屋の中央にはテーブルがあり一冊の本が置いてある。手に取りページをめくると真っ白なページばかりが延々と続く。そして最後のページに小さく、そして君はまた取り残された、…

2.蝶を見失い森の中に取り残された私は彷徨った末、古びた小屋を見つける。日が落ちて暗くなった中、月明かりだけを頼りに手探りでドアを見つけ出す。5回目のノックでゆっくりとドアが開く。中に入ってみると誰もいない。

1.黒い蝶を追って森の中へ迷い込む。蝶は木漏れ日を縫い合わせるように飛び回りながら、逆光の中で、星、花、木の葉、鳥、魚、水滴、リボン、竜、と順にシルエットを変え、そして逆光から抜け出るとまた蝶の姿に戻り飛び去っていく。