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#43

母が亡くなったので喪に服すような気持ちで更新を止めていたけれども年末だしなんか書く。

自分にとって母という存在は少し感情の置き所が難しい。3 歳のときに父と母は離婚した。父方の子として引き取られて次第に母とは疎遠になった。その後詳しいことはよくわからないのだが、父が失踪した。数年間消息不明だったらしい。その間は祖父母に育てられた。まったく狂った話だが、つまり我々家族 3 人は一度完全にバラバラになった。父は戻ってきたが母とは完全に離れることになっていく。だから母の記憶は幼少期のおぼろげなものしかない。

一度だけ中学生の時に会っているのだが、その後 30 年近く別の時間軸と空間軸の中で生きてきた。どこでどうしているかも全く知らなかったが奇しくも母の死を知らせる連絡を受けたことによってその時空の隔たりが突然消滅した。ようやく元の道につながったが待ち合わせ場所に立っているのは自分だけだった。父が亡くなったのはもう 20 年前だが、父も母も死に目には会えなかった。我々家族 3 人はやはりバラバラに死んでいくのだった。

伝え聞く限り両親は二人とも自由を求めて生きた人だったようだし、見事に勝手気ままに生きて死んだ。自分にもその血が流れている自覚がある。自分もそれなりの年月を生きてきたので、自由を求めればある種の業を背負うことになると知っている。受け継いでいくべきものがあるとしたらそのどうしようもない不合理の血か。ならばすべて絡めとってあんたらよりも俺が一番自由に生きてやるから見ておけ。

手元に残る数少ない写真の母は息子が言うのもどうかと思うがとても美しい人であった。どうぞ安らかに。